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石徹白レポート【キャッチ&リリース区間実現までの歩み】
  *このサイト(ページ)には、“WEB版・石徹白レポート”を掲載していきます。石徹白にキャッチ&リリース区間が実現するまでの歩み…それは時としてに苦渋に満ちた茨の道だったこともありますが、遠くに見える希望の篝火(かがりび)を頼りにメンバー全員が足並みを揃えて実現に漕ぎ着けた楽しい歩みでもありました。その歩みを時系列に従って順次掲載していきます。他の河川に於ける“在来渓魚の自然再生産”に少しでも役立てていただけることを願っております。
 
     
  【以下の文章は石徹白C&R区間実現のために組織された“在来渓魚を殖やす会”の会長だった斉藤彰一さんが、C&R区間が設定される2年程前に書かれたものです。】    
       
 
日本の渓流魚(在来渓魚)は、1970年頃からマイカーが普及するとともに、都会から釣り人がドッと押し寄せ、急速に減少してしまいました。そうなった時、漁協はいなくなった天然魚の替わりに養殖した魚を放流し始めることを選択しました。
押し寄せる釣り客から、遊魚料を徴収し、その一部を釣り人から文句が出ない程度に放流に使うという構図でした。文句を言われないために、一目で放流モノと分かるような成魚を放流する必要があったのかも…と疑いたくなるほど。
どうして今日まで「天然魚を復活させる」という、基本的なことから考えられなかったのでしょう。激減した天然魚の替わりに養殖魚を放流することは、漁協が負わされている増殖の義務を果たしているとは言えません。それは、ただ釣り人に対する営業上の責任を果たしているだけなのです。こんなことを続けていて、天然魚が絶えてしまった時、その責任は漁協にあるといわれても仕方がないと思わざるを得ません。また、その漁協を指導する立場の水産庁にも大きな責任があることは言うまでもありません。

放流魚に頼る釣り場がよいか、自然再生産で維持される釣り場がよいかと、釣り人にアンケートを取ったら「もちろん自然再生産で維持される釣り場がよい」という答が、圧倒的に多いに違いありません。それならば、そのような釣り場を作るために、釣り人の方も自制(ガマン)しようという考え方が「キャッチ&リリース」です。このシステムこそ、絶えてしまった自然再生産を復活させる切り札であり、我々は石徹白でそれを実証したことになります。

お金を払い魚を釣って帰るだけの時代は終ったのです。釣り人も、河川管理に対し意見を言う、その代わり、釣り人自身もガマンできることはガマンをするという姿勢が、釣り人、漁協、行政、みんなで川のこと、魚のことを真剣に考えていくための出発点になるのです。
 
 
1998年1月
斉藤 彰一
   
 
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